【晩夏】
乱歩 



《それは1/32768の透明な夏》





「溶ける・・・」

アスファルトから立ち昇る熱気に、意識が朦朧とする。

いくら近場のホールとはいえ、タクシーを使うべきだったと遅過ぎる後悔。
後悔というのは、いつだって遅いものである。



かといって、つい先日エアコンの壊れたばかりの我が家に居ても、この暑さに悩まされるであろうことは変わりない。

ならば炎天下の中、多少の暑さを我慢してでも冷房の効いたパチンコ屋で過ごすほうが賢明に違いないと考える。



「到ちゃー・・・く?」



普段から客の少ないパチンコ屋だけれど、それにしても駐車場に停まっている車が少な過ぎやしないか。

額からは滝のような汗。
その汗に混じって、嫌な予感が頬を伝う。



本日店休!明日、新台入替!



スマートフォンを取り出し、電話をかける。

「あ、タクシーを1台お願いします・・・」



11時過ぎ、近隣の別のホールへと到着。
僕のここまでの時間は、ただ無駄に汗を流しただけとなった。



気を取り直し、いざ入店。



開店から1時間を過ぎた店内は、火照った体を鎮めるのに丁度良い温度だ。



「お、あった」



タクシーの中で調べた、このホールの設置機種。
その中で一台、打ちたい機種があったのだ。





BLOOD+ 二人の女王



中学生の頃に僕が好きで観ていたアニメ、そのタイアップ機である。

僕がパチンコを打ち始めた頃、まだこの機種の前作のスロットが全国のパチンコ店に設置されていたらしい。



らしい≠ニいうのも、その頃の僕はパチンコばかり打っていた。
それ故に、スロットの情報など皆無だったのである。



席に座り、財布から一万円札を取り出す。



と、その時になって隣に座る女性に気がついた。



「タケモトサヤ・・・?」

隣に座る女性が、中学の頃の同級生竹本小夜≠ノそっくりだったのだ。
というか、恐らくは本人。

僕に気づいて、竹本がこちらに振り向く。

正面から見ても、別人などではない。
それは僕の知る竹本小夜に違いなかった。



竹本が口を開く。



「私はサヤではありません。竹本サヨです」

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