【神様のいないホールの昼下がり】
乱歩 


「ねぇ、知ってる?」


山坂える(ヤマサカ エル)が唐突にそんなことを聞いてきたのは、僕ら遅番組の2度目の休憩の時間であった。

大抵彼女がこう切り出してくる時、その話題について僕は知っていた試しがない。


「何それ、豆を模した犬の真似?」

CMで見た豆◯バだとかいうキャラクターがそんな台詞を言っていた気がするけれど、定かではない。犬を模した豆だったかもしれない。


「このホール、出るらしいですよ・・・」

季節は六月。
そういえばそろそろ怪談だとか、そういったコンテンツが盛り上がる季節だ。



「ああ、僕もこないだ見たよ」

「えぇ!先輩も見たんですか!?」

僕の気の抜けた言葉を真に受けて、彼女が椅子から飛び上がらんばかりに驚く。

「うん・・・外に逃がしたんだけど、まだいるだろうね。1匹見たら100匹いると思え、なんて言うし」

「それゴキブリじゃん!!」

威勢の良い右ストレートが僕のみぞおちを突く。
彼女は忘れているようだけれど、僕は一応君の先輩だよ?



「このホール、おばけ≠ェ出るらしいですよ!」

あー、はいはい、おばけね。おばけ。
まぁ出てもおかしくないくらいに旧いパチンコ屋だし、今更驚きはしない。


「10代くらいの女の子の姿で、長い黒髪に真っ黒のワンピースを着てるらしいですよ」


長い黒髪に、真っ黒のワンピース・・・?

「あー・・・多分見たわ、それ」

「え!?え、今度は本当ですか?ゴキブリじゃないですよ?」

いや、振りかぶるな、右腕を。
僕だってあの日見たアレが本当におばけだったのだとしたら、一番驚いて然るべきは僕自身である。

話は一週間前に遡るー。
 

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