【季節の箱庭〈二〉】
乱歩 



《生者の行進》



「世の中のカップルめ、皆んな別れてしまえ」



私の精一杯の呪詛(じゅそ※神仏や悪霊などに祈願して相手に災いが及ぶようにすること。)は、ビルとビルの隙間を吹き抜けてゆく風にかき消された。
その風に乗って、世界中に撒き散らされることを願うばかりである。

「美味しいかにゃー?」

足下を見ると、野良猫が二匹並んで廃棄された生ゴミにがっついている最中だった。
何か猫用の缶詰でも買ってあげようかとポケットに手を入れてみる。

「む、150円・・・」

一つくらいなら買えそうだけれど、これを使うと温かい飲み物すら買えなくなってしまう。これが私の全財産だ。

「ま、どうせ使うこともないしねー」

そう呟いてみて、心底自分が惨めに感じる。
悔しいついでに鼻歌も歌ってやろう。



目に入った全国チェーンのコンビニで猫用の缶詰を一つだけ購入し、私を待っている猫達のもとへと戻る。

まぁ、待っているかどうかは私の希望的観測なのだけれど、待っていてくれると思うことで少しは気も晴れるというものだ。


戻ってみると、先ほどと寸分変わらずに猫達は食事中だった。
私は手に持った缶詰の蓋を開け、そっとその場に置く。

「私の全財産で買ったんだぞー。残さず食えよー」

そんな私の気持ちを知ってか知らずか、廃棄ゴミを食べ終えると、猫達はすぐに私の置いた缶詰をふんふんと匂い始める。毒なんて入れてないぞ。



「さぁ、死のう」

よし、と私は決意も新たに立ち上がる。
こんな昼過ぎから、行くあても無く街をブラブラと歩いているのには私なりの理由があるのだ。

まぁ、私が死のうと決意したのにはそれはそれはのっぴきならない大人の事情があるわけなのだけれど。
 

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