【稼動連鎖のウロボロス】
乱歩 


『九月の蝶は風に舞って』



「探偵さん、幽霊って信じてます?」

抽選券を握る僕に、そんな風に声をかけてきたのはよく見知った常連客であった。

「全く信じてない。でも別に、信じる人間のことを否定してるわけでもない」


そんな僕の答えに、彼女は不満げに頬を膨らませる。
そんな顔をされても、残念ながら僕の価値観は揺らぐことはなかった。



信じたければ好きにすればいい。

ただ、僕は今まで生きてきて一度も信じるに値する現象に出会ったことがないのだから仕方がない。

スロットにおけるオカルトやジンクスだってそうだ。
おしぼりを置けばランプが光るのなら、幾らでも置くと良い。個人の自由だ。


「信じる者は救われるんですよー」なんてブツブツと呟きながら、隣で不服そうな彼女。

幽霊を信じて何に救われるのか。
そもそも幽霊って救うのか?なんてことを僕は考える。



ふと外に目を向けると、まるでその冷え込みをそのまま音に変えたかのように、風が鳴いていた。九月といえば初秋である。

風は強く、電線をしならせている。



怪談話を披露するには少し時期遅れのような気もするが、それでも一応は話に耳を傾けてみよう。

信じていないからといって、その話題に興味がないわけではないのだ。



「私の友人のホールスタッフの女の子の話なんですけど、夜間に看板を仕舞うと決まってその倉庫の中から呻き声が聞こえるらしいんです」



成る程。
知人の知人の話だとか、そういう眉唾ものの話でなくて安心した。

「何でも、今月の始めにその倉庫の真ん前の道路で人身事故があったらしくて。その事故のあとから呻き声が聞こえてくるようになったらしいんです。今でも倉庫の裏側に花が置かれているみたいですよ」



おお、話が随分とオカルト地味てきた。

そういう前提があれば、テレビのホラー特集なんかよりも余程この話のほうが興味を惹かれる内容となり得る。


「探偵さんなら何かわかるんじゃないかなー、なんて思った次第であります」

少ない情報から幾つかの可能性を考えているうちに、再整列の声がかかる。


ここで一旦、彼女とは離れることとなった。



にしても、
僕は今日打ちたい機種があってわざわざ電車を利用してまで、この少し離れたホールへ足を運んだわけなのだけれども。

・・・そんなホールで、知った顔と出会ったことのほうが僕にとってはオカルト現象なのだった。





入場番号はあまり良くはなかったものの、何とか一台だけあったお目当ての台を確保することに成功した。

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機種名がすこぶる長い。

この前作が好きでよく打っていたのだけれど、最近ではホールで見ることもめっきりと少なくなった。


思い入れのある機種なのだけれど、今作は導入しているホールが少ないらしく、こうしてわざわざ遠方まで足を運んだ次第である。



リールの配列等も知らない状態のまま、手探りで打ち始める。

所見の台では、打ちながら小役の位置などを探していくのが僕なりの愉しみ方なのだ。



「またマニアックなの打ってますねー」

打ち始めて50Gを過ぎた辺りで、彼女が僕を見つけて声を掛けてくる。


どうやら彼女のお目当ての機種には先着がいた様子で、渋々といった様子で僕の周りの台をガックンチェックしていた。

そんな風にして、堅実に朝一の状況把握をしながらも結局は僕の隣のリング 終焉の刻(藤商事)へと腰掛ける。ガックンチェックの意味とは如何に。


「失礼とは思うんですけど、探偵さん」

「なに?」

「早く当ててもらって良いですか?絵にならないんで」



呪ってやろうかコイツ。

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