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【閑話休題】
乱歩 





〈老人と隣人〉



季節は夏。

といっても、未だ梅雨は明けていないし、夏と呼べるほどの猛暑にも襲われてはいない。
春が頑張り過ぎて、多少熱を出した程度の、そんな暦の上での夏。



その日は朝からやたらと良い天気で、
普段は億劫で面倒臭い洗濯物も、今日ばかりは意欲的に物干し竿へとぶら下げていた。



いざ全て干し終わると、不思議と爽快感が胸を満たす。
世の主婦はこれを日々こなしているのだから、頭が上がらない。



そうやって有意義な朝のひと時を終えて、時刻は12時前。

軽食で胃を膨らませて、午後からは趣味の時間だ。



普段本を読んでばかりの僕が、唯一自分の中で趣味として公言していることがパチンコ・スロットである。



無論、打つこと自体も愉しいのだけれど

常連の方々と会話に花を咲かすことも、あまり人と話す機会のない僕には新鮮であり、愉しみな時間でもある。



この日もホールに着くと、直ぐに台を選ぶなんてことはせず

先ずはゆっくりと店内を歩き回り、見知った顔の方々に挨拶をする。


そして最後に休憩所で一服してから、やっと本腰を入れて打つ台を探しに行くのである。



そしてそれは休憩所で煙草に火をつけ、缶コーヒーを啜っている時のことだった。



「お兄ちゃん、最近この店出とるかね?」



そう言って声を掛けてきたのは、偶にこのホールで見掛けるけれども、こうして会話するのは今日が初めての年配の男性。
70代くらいだろうか、杖を片手にニコニコと笑みを溢している。

「どうでしょう。ひと昔前のほうが人も多かったし、出てたかもしれませんね」


「それでもお兄ちゃんはこの店に来とるんだね」


そう返されて、言葉に詰まる。
確かに出玉の話をすれば、少し離れた地域にある大型店舗のほうが出ているかもしれない。

それでも、僕はこのホールが好きだ。

元より、人でごった返すホールでは打ちたくないという思いが強い。


それに何より・・・
正直に打ち明けると、僕はこのホールの店員さんに一目惚れしているということもある。

「・・・そうですね、実は気になっている店員さんがおりまして」

正直に打ち明けられたのは、老人の浮かべる柔和な笑みにほだされたのかもしれない。


「ほう、若いってのは良いもんじゃな。実はわしも、この歳になって恋≠してしまった」



缶コーヒーは既に空っぽだった。

それでも席を立たなかったのは、この老人の話す恋≠フ話に興味を惹かれたからかもしれない。

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